徳洲会グループ
緊急リポート
7月に入り新型コロナ感染症が急拡大している。連日、各地で1日当たりの新規陽性者数が過去最多となり、22日には全国で19万人超と過去最多を更新した。この第7波のピークが見えないなか、医療現場では救急医療の逼迫や通常診療の一部制限が報じられるなど影響が出ている。徳洲会グループも家庭内感染や保育所の臨時休業などで出勤できない職員が相次ぎ、厳しい状況だが、各施設内外で連携・協力しながらコロナ対応とともに通常の救急・診療などを継続すべく懸命に努力している。徳洲会病院のコロナ対応を緊急リポートする。
プレハブ病棟や臨時 医療施設など再開棟

関西でも大阪府を筆頭に陽性者が急増。野崎徳洲会病院(大阪府)は昨年9月にコロナ重症センター(20床)を開設、院内にも軽症・中等症用病床(38床)を確保した。7月中旬以降は入院患者さんが徐々に増え、計40床前後が埋まる状況が続いている。木下美智子・看護部長は「第4波以降、職員は10日おきにPCR検査を受けスクリーニングし、早い段階で感染状況を把握するように努めています。また、国から行動制限は出ていませんが、朝礼で会食や旅行を控えるようお願いし、気を引き締めています」と明かす。
岸和田徳洲会病院(同)は第6波に続き重症患者さんの受け入れ体制を整備。19日現在でコロナ患者さんの入院はないが、その一方で、発熱外来の受診者数は日に日に増加、PCR検査での陽性率も上がっている。また、発熱患者さんのなかにはインフルエンザのケースもあり、とくに若年者に目立つ。深野明美・看護部長は「職員の感染・濃厚接触も少しずつ増えてきました。小さい子どもがいる家庭内の感染はどうしても避けられませんが、院内に広がらないよう細心の注意を払っています」と神経をとがらす。
神戸徳洲会病院は7月中旬に薬局と院内保育園でクラスターが発生。薬剤師が不足したぶんは看護師が業務の一部を代行、また同じ県にある高砂西部病院から薬剤師が応援に来るなど協力体制を築いている。軽症・中等症用の病床は第6波では20床を確保していたが、現在は8床を運営し、満床が続いている。中村美津・看護部長は「若年者からコロナが広がっているように感じます。一般病棟でもコロナ陽性者が出ていますので、診療がストップすることがないよう、引き続き感染対策に努めたい」と気を引き締める。
名古屋徳洲会総合病院はコロナ病床5床を用意。6月末以降は、ほぼ満床が続いている。発熱外来の受診者も日を追うごとに増加、3連休明けの7月19日は通常の3倍以上の患者さんが訪れ、約半数が陽性を示した。こうしたなか救急受け入れも積極的に対応。乕田美幸・看護部長は「クラスター(感染者集団)が発生すると救急を止める病院もあり、遠方から運ばれてくるケースもあります。4回目のワクチン接種も始まりましたが、地域の医療機関と役割分担し、当院は救急受け入れにも注力していきたい」。
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は第6波以降、コロナ患者さんの入院数が減少傾向だったため、県から委託を受けて運営しているコロナ専用臨時医療施設の病棟を1病棟(39床)まで縮小していた。だが、ここにきて入院患者数が再び増加基調となり、18日時点で36人と上限に迫ってきたことから、もう1病棟(39床)を開けることを決定。21日から2病棟を運用している。
「マンパワーには限りがありますので、コロナ病棟を拡大するために看護師の配置を変えました。やむを得ず本館の1病棟(24床)を閉め、コロナ病棟に移動させました」と同院の八木沼正子・看護部長は説明する。
感染拡大の影響により救急患者さんの増加も顕著だ。7月17日の救急患者数は100人に達した。ほぼ1カ月前の同じ曜日(6月19日)は51人。救急外来(ER)の業務量が急激に増加していることを受け、ERの医師や看護師をサポートする診療看護師(NP)を新たに配置し、体制を強化するなど措置を講じている。
千葉西総合病院は7月に入り、自治体からの依頼による新規入院患者さんに加え、救急で受け入れた発熱患者さんが陽性と判明するケースも増加、プレハブのコロナ専用病棟(30床、2020年5月開設)では足りなくなり、院内にもコロナ病床を確保している。小林裕子・看護部長は「現在、疑似症用に確保していた病棟の一部をゾーニング(区分け)し、コロナ患者さんを受け入れています。さらに増えたら疑似症用の病棟を別途用意するなど体制整備も検討します」と身構える。
羽生総合病院(埼玉県)は昨年1月にプレハブのコロナ専用病棟(80床)を開設、第6波収束後しばらくはコロナ患者さんの入院が少なかったが、7月以降徐々に増え、19日現在で14人が入院している。
埼玉県でのコロナの医療提供体制は25日、フェーズ2から一気にフェーズ4に引き上げられる見込みだ。青木三栄子・看護部長は「今回は感染が広がるスピードが早く感じます。入院が増えてきた場合は、本院の一部を閉じてスタッフを回すなどの対応を考えます」と備えを怠らない。
→徳洲新聞1348号掲載