徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

整形外科の病気:膝蓋大腿関節症

骨変形などで疼痛


図1 膝を横から見た図(青色は軟骨)
膝には大腿骨と脛骨でつくられる脛骨大腿関節(いわゆる膝関節)と、大腿骨と膝蓋骨でつくられる膝蓋大腿関節の2つの関節があります。(図1)膝蓋骨と大腿骨が接触している部分には骨表面に軟骨があり摩擦を低減しています。膝を屈伸する際には膝蓋骨は軟骨のおかげで滑らかに上下や左右に動きます。膝蓋大腿関節症とは、膝蓋大腿関節に炎症が起きたり軟骨がすり減ったり骨が変形することで疼痛を生じる状態をいいます。

階段昇降時などに痛み

症状は以下のとおりです。

原因は加齢と脱臼・亜脱臼

原因は主に2つあります。


図2 膝蓋大腿関節を横から見た図
1つは加齢の影響や、膝に負担をかけ続けることで骨表面の軟骨がすり減ったことが考えられます。中高年の女性に多い疾患で、この場合は脛骨大腿関節(膝関節)の軟骨もすり減っていることがほとんどです。2つ目の原因は膝蓋骨の脱臼、亜脱臼です。正常であれば膝蓋骨は大腿骨に形成された溝にうまくはまりその溝を滑るように動きます(図2)。


図3 膝蓋骨脱臼
しかし、膝蓋骨が溝からはずれたり(脱臼)、溝からはずれかけたり(亜脱臼)すると摩擦で軟骨がすり減ります(図3)。膝蓋骨脱臼・亜脱臼を繰り返すとどんどん軟骨が痛み、悪化すると骨にまで影響が出ることがあります。この場合、脛骨大腿関節(膝関節)の軟骨は影響を受けないことが多いです。

膝蓋骨の脱臼は、ジャンプの着地時に太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)が強く収縮したときに起こるほか、事故などで外部から膝の皿に強い衝撃を受けたとき、周辺(主に内側)の靭帯が緩んでいるときなど、さまざまな原因で起こります。生まれつき膝蓋骨や大腿骨の形の異常があり、大腿骨の溝に膝蓋骨がうまくはまっていない場合に脱臼しやすくなります。若い女性は女性ホルモンの影響で関節が緩くなりやすいため発症しやすいといわれています。

X線撮影等で変形の程度を確認

診察で膝の痛みの特徴や部位、膝蓋骨の動きを確認します。X線撮影を行い、膝蓋骨の位置や膝蓋大腿関節の形状(溝の形)、変形の程度を確認します。関節の隙間の大きさで残っている軟骨の量を判断し、骨棘(こつきょく)という余分な骨がどれくらい形成されているかで変形の程度を判断します。MRIを撮影し軟骨の損傷の部位や程度を確認することもあります。

薬物療法や理学療法で痛みを抑える 効果がなければ手術も

保存治療は患部の安静を保ちながら、薬物療法や理学療法によって炎症を抑えて痛みを軽減します。加齢が原因の場合は上記の治療に加えてヒアルロン酸の関節内注射を行うこともあります。膝蓋骨脱臼が原因の場合は膝周辺の筋力トレーニングを行い、筋肉や靭帯を強化して膝蓋骨の動揺性を減らします。装具を使用し、膝蓋骨が主に外側に脱臼するのを防ぐ方法もあります。

保存治療で効果がみられない場合、頻度は少ないですが手術治療を行うこともあります。加齢に伴う変形の場合で、膝関節の軟骨もかなりすり減っているようであれば人工膝関節置換術を行うことがあります。この際に膝蓋骨の軟骨のすり減った部分に軟骨代わりとなるポリエチレンのクッションを置換します。

膝蓋骨脱臼が原因の場合は変形や症状の程度により、膝蓋腱の脛骨付着部の位置をずらすことで脱臼を予防したり、膝蓋骨の内側の靭帯を修復し外側への脱臼を予防する手術などが行われます。

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